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納豆ダイエット事件で忘れられているもう一つの問題点
 納豆2パックを朝晩食べると、強力なダイエット効果があるということを日曜夜の人気番組「あるある大事典」が放映した。その結果、納豆がスーパーの店頭から一週間以上も売り切れている状態が続いていた。ところが、そこで取り上げられた納豆ダイエットがとんでもないデータの捏造であったとのことであった。

 このような社会現象が発生したことに対して多くの健康食品管理士の方はすぐに「本当か?おかしい」と感づかれた。協会としてもこの異常な事態に対して「白いんげん豆中毒事件」の時のように、的確な情報を流すべく科学的に明確な誤りを指摘するための情報の蒐集を始めた。

 何点かの矛盾点は明らかになり、とりあえず馬鹿騒ぎに警告を発しようと準備をしている段階で、捏造が明らかになった。中性脂肪を測定せず、数値を出すような、いわゆる捏造の部分もさることながら、理論そのものを根拠のないことを基に、彼らが作り上げてしまった、というとんでもないものであった。

 ここまで、ひどいと、その誤りを文献に基づいて科学的にまともに取り扱った場合に、難問になると言うことが明らかになった。いわば、小説の世界を科学で論じようとしたのに近い状態であったと言うことである。そのために「白いんげん豆」の時のように、マスコミで騒ぎになる以前に皆様に情報が発信できなかった次第である。

 ところで、この事件を契機に、私(長村洋一)が、「レタスと睡眠」に関するとんでもない取材方法を健康食品管理士の研修会において話したことを思い出され、もう一度詳しく教えてくださいという健康食品管理士会の会員の方からの問い合わせが殺到していますので以下に掲載させていただく。

レタスと睡眠 (ここをクリック)

 今の社会的雰囲気の中では、この記事を読まれると、そうか「マスコミ=信用できない」という極端な方向に走りがちであるが、そうでなかった体験もあるので併せて報告する。

 私が経験したとんでもない「あるある大事典」取材の1年後くらいに、日本テレビの「所さんの目がテン」という番組のディレクターから突然、「先生のところで、レタスジュースをネズミに飲ませてネズミを眠らせる」実験を撮影させて欲しいとの電話を受けた。

 私は非常に驚いた。何故かと言えば、レタスジュースを飲ます実験に関しては全く学会や文献等で報告していないのでどうしてそんな話が持ち上がるのか全く分からなかった。レタスジュースによる睡眠と言えば、私のところでたった一度行われた苦い思い出の実験があるのみで、学外のヒトなどは知りようがないからである。

 私には全く不思議だったので、まず「どうして私のところでそんなことができると分かったのですか」と尋ねたところ、「あるある大辞典」以来多くの方がレタスによる睡眠に関心を示しておられ、レタスの催眠作用に関する検証は一般の方にお知らせするのに意義が大きいので、レタスと睡眠に関する番組をある教授の指導の基で放送することになって取材中である、そのポイントとなる「ネズミの実験」をその教授にお願いしたところ「長村先生」の実験だったということでお願いしたい、との回答がなされた。

 そこで、「あるある大事典」の取材と放送の経過を説明したところ、ディレクターが「頭が真っ白」状態になられた様子が電話でもよく伝わってきた。その3週間後の放送予定日も決定し、番組予告もでており、大半の取材は終えていて最後のポイント実験としての依頼であったから無理もないことである。

 今更どうにもならないが、ディレクターは番組を何とかまとめなくてはいけないと本当に困られた。そこで、確かにラクチュコピクリンはレタスの中に少ないが含まれているので、たくさん食べさせたら眠る可能性はあるかもしれない、というかすかな期待のもとに、ウサギや犬に非常に多量のレタスを負荷される実験をそのディレクター自身が年末年始を返上してやられた。

 しかし、結果は全く期待はずれで我々の実験室で行ったネズミの結果と同じであった。そこで、放映予定の一週間位前の段階でその番組の放送の中止を決定された。ディレクターには苦渋の決断であったようであった。しかし、私はこうしたことに接して、話せば分かるマスコミの方もいると言うことに妙な心の安らぎを感じたのを覚えている。

 昨年5月にも白いんげん豆のダイエット番組がもとで非常に大量の中毒者を出した。このときにもある大学教授が関係している。白いんげん豆をフライパンで3分煎るという方法で、毒性の強いレクチンのみを特異的に失活させることが、素人にはどれほど困難なことで、もし、失活しないレクチンが残存して中毒になったらどれほどひどいことになるかは、少し文献を調べられれば予測できたはずである。

 食品添加物などについても、今はブームとばかりにADIの意味や、使用量と言った量の基本的な問題も考えず、やたら危険だとあおり立て、無添加を礼賛される大学教授、また、素人が思いこみからタウン誌に書いた、コンビニ弁当を食わせたら食品添加物で奇形の豚が産まれたとの記事を学問的根拠があるかのようにインタビューの中で話される大学教授、昆布のぬめり成分であるアルギン酸にマグネシウムイオンを添加したときにアルギン酸が凝集する実験を記者にわざわざ見せて、人工イクラが化学合成されているかのような錯覚を一般人に与えている教授など、無責任な研究者のコメントが一般人に与えている誤解には大きなものがある。

 白いんげん豆や今回の納豆のような大きな事件になるのはまれであるが、特定の物質を含有している食材を食べたときの健康に対するコメントを、いろいろな研究者が良くされている。

 さすが専門家と感じさせる素晴らしいコメントもたくさんあるが、中には単にマスコミ受けをねらってしかいないと思われるケースもかなりある。いずれにしてもそのコメントが与える結果には大きな影響力があるので研究者の責任は無視できない。自分の専門でない分野に関しては、しっかりと文献を調べた上で番組に対応をしてあげることは最低限必要なことではないだろうか。

 納豆ダイエットに関しても、白いんげん豆食中毒事件に関してもマスコミで問題になる以前に、私個人や協会へその真偽や問題点の問い合わせが殺到した。そして、今回も何かが起こるぞという感じがしていた矢先の結果である。

 また、今回の事件を通して、生化学を含む科学的に厳しい教育を受けられた方が社会へ眼を向けて正しい情報をつかみ、社会へ情報を発信するリスクコミュニケーターとしての重要性をみごとに認識させられた。

 健康食品管理士になられた方からの情報は医療現場におられる方からの情報が多いだけに、非常に重要である。こうした情報を素早く皆様に還元するシステムを構築中ですので、ご協力をお願いする次第である。

 最後に、今回の事件の収束で突然市場にだぶついて安くなった納豆を使った私の愛用メニューであるノーミソヨーグルトのレシピを紹介させて頂く。
 良かったら、お試しあれ、

ノーミソヨーグルト (ここをクリック)

              文責:長村洋一